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「特定技能」ってどんな在留資格?業務から取得方法までくわしく解説します


04 Apr, 2021

はじめに

現在日本には多くの外国人が訪れています。観光で訪れ、日本文化や生活に触れるうちに、「日本に住みたい」、「日本で働きたい」と思う外国人もいることでしょう。

しかし、観光で日本を訪れることは比較的簡単なのですが、日本に住んだり働いたりすることはそう簡単に実現することはできません。

日本に住むためにはどういう目的で日本に住みたいのかを行政へ申請し、在留資格を取得してはじめて日本に住むことができます。

この在留資格は細かく分類されており、なんと33種類もあるのです。

今回は在留資格の中でも「特定技能(1号・2号)」をピックアップして、詳しく解説していきたいと思います。

在留資格「特定技能(1号・2号)」ってどんな外国人が申請できるの?

現在日本では、移民政策を行っていません。そのため、原則として外国人は日本で単純労働業務に就くことはできません。

しかし、深刻な労働力不足を解決するために、特定技能(1号・2号)という在留資格ができました。この在留資格を取得すると、14分野において外国人労働者が就労することが可能になります。

2018年に閣議決定された「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針」では

(1)1号特定技能外国人
ア 「特定技能1号」で在留する外国人(以下「1号特定技能外国人」という。)の配偶者及び子については、在留資格は基本的に付与しない。また、「特定技能1号」の在留資格をもって在留することができる期間は、通算して5年を超えることができない。

イ 1号特定技能外国人に対しては、相当程度の知識又は経験を必要とする技能が求められる。これは、相当期間の実務経験等を要する技能であって、特段の育成・訓練を受けることなく直ちに一定程度の業務を遂行できる水準のものをいう。当該技能水準は、分野別運用方針において定める当該特定産業分野の業務区分に対応する試験等により確認する。試験と同水準と認められる資格等、試験以外の方法により当該技能水準を確認することができる場合には、その方法を分野別運用方針において規定することとする。確認手法の適正な実施を確保するため、分野所管行政機関が具体的な機関、確認の方法等を定める場合には、法務省に協議した上で定めるものとする。

ウ 1号特定技能外国人に対しては、ある程度日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力を有することを基本としつつ、特定産業分野ごとに業務上必要な日本語能力水準が求められる。当該日本語能力水準は、分野所管行政機関が定める試験等により確認する。

(2)2号特定技能外国人
ア 「特定技能2号」で在留する外国人(以下「2号特定技能外国人」という。)については、在留期間の更新に上限を付さず、また、その配偶者及び子に要件が満たされれば在留資格を付与する。

イ 2号特定技能外国人に対しては、熟練した技能が求められる。これは、長年の実務経験等により身につけた熟達した技能をいい、現行の専門的・技術的分野の在留資格を有する外国人と同等又はそれ以上の高い専門性・技能を要する技能であって、例えば自らの判断により高度に専門的・技術的な業務を遂行できる、又は監督者として業務を統括しつつ、熟練した技能で業務を遂行できる水準のものをいう。当該技能水準は、分野別運用方針において定める当該特定産業分野の業務区分に対応する試験等により確認する。(引用元 特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針)

と定められています。

特定技能 1号とは

特定技能 1号は、介護、産業機械製造業、ビルクリーニング、電気・電子情報関連産業、素形材産業、建設、自動車整備、造船・舶用工業、農業、漁業、航空、宿泊、外食業、飲食料品製造業の14分野において認定されます。

該当分野の技能試験及び日本語試験に合格するもしくは、技能実習2号を良好に修了するとその分野で就労することができる在留資格です。

就労ができる期間は5年間。原則、家族の帯同はできません。

在留資格の認定に、母国での関連業務への職務経験や学歴が必要ないため、日本で働きたい外国人からすると、敷居が低い資格と言っても過言ではないでしょう。

介護と建設分野以外は受け入れ人数に制限がなく、同じ分野であれば転職が可能であるというところも大きなメリットです。

受け入れ機関や登録支援機関からの支援対象というところも注目ポイントです。

特定技能 2号とは

特定技能 2号は、特定技能1号を終了した外国人が移行可能な在留資格。今のところ、建設と造船・舶用工業の分野だけ特定技能 2号に移行することができます。

この資格の大きなメリットは、更新回数が無期限であるところ。日本に就労先がある限り、日本に在留することが可能です。

要件を満たしていれば、配偶者や子供などの家族を帯同することができます。

ただし、受け入れ機関や登録支援機関からの支援対象から外れるということは頭に入れておきたいポイントです。

日本で「永住権」を得るには10年間の日本在留が必要となりますが、就労先があれば無期限で日本に居られるこの在留資格を取得すれば、永住権取得への大きな1歩になるでしょう。

特定技能で在留資格を取得するには

特定技能で在留資格を取得するには、「特定技能評価試験に合格する」又は、「技能実習2号を修了する」のどちらかの要件を満たさなくてはなりません。

特定技能評価試験は、業種ごとの業界団体が国の求める基準を基に試験を作成。技能水準と日本語能力水準の2つの試験に合格する必要があります。

原則として、この2つの試験は日本国外で実施され、受け入れ分野において即戦力として働けるよう、必要な知識や経験があるか否かを評価します。

日本語能力は、「日本語能力試験」か「国際交流基金日本語基礎テスト」で評価されます。

日本語能力試験において、基本的な日本語を理解しているとされる「N4」、国際交流基金日本語基礎テストで、ある程度の日常会話が可能で生活に支障がないレベルとされる「A2」以上が合格です。

ただし、建設分野と農業分野においてはN4まで求められません。

また、介護分野においては上記の日本語能力試験だけでなく、「介護日本語評価試験」にも合格する必要があります。

日本に技術を学びに来る在留資格である「技能実習」において、入国初年度に認定される「技能実習1号」で獲得した技術をさらに習熟させることが目的の「技能実習2号」を良好に修了し、技能実習での職種と特定技能1号の職種が一致していれば、特定技能1号へ移行することができます。

特定技能の外国人を採用するには

日本の企業が特定技能で外国人を採用する際に注意するポイントがいくつかあります。

1つ目は、外国人と結ぶ雇用契約が適切であること。例えば、同じ職に従事する日本人と同等の報酬を支払うなどです。

2つ目に、5年以内に労働法令違反がないなどの、適切な企業であること。

3つ目は、外国人が理解できる言語でサポートすることができるなど、支援体制を整える必要があります。

4つ目は、住居を確保する、日本生活のオリエンテーションを行うなどの、外国人のサポート計画が適正であることです。

この4点を満たしていれば、外国人を採用したい企業は、外国人労働者支援計画の策定とビザの申請をする以外は、日本人従業員を採用する際と大きな違いはありません。

外国人労働者支援計画の策定とビザの申請は、認可を受けた登録支援機関に委託することもできます。

まとめ

在留資格「特定技能」についてまとめてみましたがいかがでしたでしょうか。

在留資格は細かく分類されており、複雑に感じられる方もあるでしょう。しかし、外国人を雇用する立場であれば、ある程度の知識が必要になってきます。

外国人労働者も受け入れる側の両者が、正しい知識を身につけていくことが大切です。

(画像はpixabayより)