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外国人労働者の研修のポイントをおさえよう!~日本人との違いは?~


26 Apr, 2021

外国人労働者を採用した場合、業務に必要なスキルや知識習得のために、研修を行う企業も多いと思います。

しかし、言葉も文化も違う外国人に行う研修は、日本人に行う研修とは大きく異なる点があります。しかし、研修での知識を身につけ、早く仕事に慣れてもらえれば、企業にとって大きな戦力となります。そのためには、いかにポイントをおさえた研修を行うことができるかという点が重要になります。

そこで今回は、外国人労働者に研修で教えるべきポイントや、外国人労働者に対して企業がとるべきサポート体制についてご紹介いたします。

外国人に教育すべき内容

日本の文化について

日本で働く外国人に、教育すべき内容として挙げられるうちの1つが「日本の文化」についてです。日本人を雇用した場合に、改めて日本の文化について教育することはないので、外国人の人材育成において大きな違いといえます。

日本文化を教育する上で、日本の文化を押しつけてばかりでは、外国人はとまどってしまい、今後の研修や業務に悪い影響を与えてしまう恐れがあります。

まずは、お互いの文化を学び、違いを受け入れることから始めてみましょう。ときには、外国人にとって日本の文化や習慣を苦痛だと感じる場面があることも、教育をする上で認識しておかなければなりません。

外国人労働者の教育では、仕事の進め方や組織における人間関係など、知っておいてほしいポイントをわかりやすく指導していきましょう。日本のビジネスにおける文化を、初めに習っておくだけで、日本企業の慣習を知ることができ、今後のビジネススキル向上につながります。

日本と母国、双方の文化を持ち合わせつつ、日本のビジネススキルを身につけた姿をイメージできるようになれば、その姿に近づけるようにサポートしてあげましょう。

日本文化の教育に関しては、画像や動画を用いながら研修の場を設けたり、異文化コミュニケーションとして親睦を深めたりするための時間を確保することで対策ができます。

研修では、座学だけにとどまらず、ワークショップ形式を導入してみましょう。周囲と協力しながら積極的に発言することで、日本語を用いたコミュニケーション能力を向上させたり、主体性を高めたりすることができます。

社内の業務について

社内業務の教育では、明確でわかりやすい日本語で指導を行うことを心がけましょう。日本人は当たり前に使っている言葉でも、外国人にとっては曖昧だと感じる言葉は多いようです。

例えば「なるべく早く来てください」の「なるべく」は、外国人にとって何分前、何時間前なのかが明確ではありません。また、「ちゃんと片づけてください」の「ちゃんと」は、文化や習慣の違う外国人にとっては、何が「ちゃんと」なのかがわかりません。

そのため、指示や指導は具体的な数値や状態を指して伝えましょう。「6時50分に来てください」「机の上には何もないようにしてください」など、わかりやすく表現することが大事です。

また、外国人は日本人と違って「言わなくても伝わる」「雰囲気を察する」という慣習はありません。そのため、外国人の研修で素晴らしい行いをしたときは、しっかりと褒めてあげましょう。そして、間違った行いをしたときは、決して感情的にならず、冷静に良くない行いだということを伝えましょう。重要なのは、物事を曖昧にせず「良い」「悪い」を明確にすることです。

研修中での指導が曖昧なままでは、外国人は「何も言われないから、これで合っている」と理解しがちです。あとで大きなミスが発覚したときに、指導の際に使用した表現が曖昧であったことが理由になる可能性もあります。何より、ミスをしてしまったと落ち込むのは外国人本人です。日本で働くことに対してネガティブなイメージを持たれないためにも、明確でわかりやすい研修を行いましょう。

外国人労働者のサポート体制について

外国人の研修を行うと同時に、受け入れる企業も外国人をサポートできる体制をつくらなければいけません。貴重な労働力を活かし、外国人が持つ能力を発揮してもらうために、労働環境を整え、メンタル面のサポートをすることも必要です。

労働環境の整備

外国人だからといって、賃金や労働時間などの労働条件において、差別的な扱いをしてはいけません。労働基準法で定められた労働時間を守り、勤怠管理をしっかりと行いましょう。なお、外国人労働者の旅券を本人の同意無しに会社が預かることはできません。

また、外国人労働者が安全かつ健全に働くことができるよう、安全衛生に関する教育を研修に取り入れ、理解してもらいましょう。労働災害が発生しないように、いざというときの日本語による指示や合図は覚えてもらうように努めましょう。

外国人労働者であっても、労働安全衛生法により健康診断を実施し、健康診断を行う目的や内容を理解できるように説明します。ほかにも日本人と同じように、雇用保険や労災保険の加入が必要となる場合は、各種保険の内容を説明し、手続きに関するサポートを行います。

さらに、外国人が能力を十分に発揮できるように、日本語研修を実施します。その他にも業務で習得すべき技術や資格があれば、学習支援を行いましょう。

メンタルヘルスケア

昨今、外国人労働者の数が増えているにも関わらず、外国人労働者に対するメンタルヘルスケアについてはあまり注目されていません。しかし、言葉や文化の違いを抱えつつ、異国の地で働くということが、どれほど精神的に大きな負担になるかは、日本人であっても想像に難くないことは理解できるでしょう。

外国人雇用指針では、雇用主は外国人労働者に対してストレスチェックを実施することが定められています。厚生労働省のHPから「職業性ストレス簡易調査票」の英語版をダウンロードできるので、活用しましょう。

ストレスチェックの結果を元に、外国人雇用の担当者は、外国人労働者と面談の場を設けて、労働者の話に耳を傾けてみましょう。言葉の壁により、担当者が傾聴できない場合は、外部の専門家や英語の話せる産業医に依頼することも効果的です。

メンタルヘルスの不調は、日本人と同様に外国人労働者本人の努力では改善できないこともあります。そのため、企業には、外国人が抱える精神的負担を軽減させる労働環境づくりや、外部のサポートを導入するなどの対策を行うことが求められています。

ときには、日本人以上に外国人労働者の様子を気にかけ、悩みやストレスを早期に解決してあげることが必要です。メンタルヘルスケアを行うことで、外国人労働者が心身共に安定することができれば、生産性の向上にもつながり、企業の利益向上も期待できるでしょう。

まとめ

日本人の研修とは違い、外国人の研修では、スムーズに進まない場面に何度も出くわすかもしれません。特に、言葉や文化の違いから、お互いの意思や希望がすれ違ってしまうことも予想されます。

しかし、お互いの文化の違いを受け入れ、わかりやすい言葉を用いて、内容が伝わるまで根気よく教えることで、少しずつ社内の業務にも慣れてもらえることと思います。

外国人の持つ能力を十分に発揮してもらうためにも、企業が外国人を受け入れる体制を万全にすることも重要です。異国の地で働く外国人が安心して健康に過ごせるために、労働環境を整え、積極的にコミュニケーションをとって気にかけてあげましょう。

外国人の研修を行うことは、単に仕事を覚えてもらうためだけではなく、日本人従業員と活発に交流することで、人間関係の構築にもつながるのです。

(画像はPixabayより)