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外国人採用はどのような流れで行うの?双方がメリットを得るポイントは?


26 Apr, 2021

少子高齢化が進む日本では外国人採用のニーズが上昇

外国人採用のニーズの高まりが生じている背景は、日本において少子高齢化が進んでおり、労働者の確保が難しくなっている点です。

しかしながら、世界的には人口が増加傾向にあるため、労働者不足を解消する手段として外国人の採用に注目が集まっています。

外国人採用と関連性のあるワードとしては「インバウンド需要」と「エンジニア需要」があります。

インバウンド需要に関しては、2020年以降世界的に流行している新型コロナウイルスによって一時的に下火となっているものの、その流行が収まればインバウンド需要は盛り返すものと見込まれます。

インバウンド需要において、日本を訪れた外国人の気持ちをつかむためには、外国人による対応が効果的です。

また、エンジニアの分野においても日本人の人材が不足している状況です。その課題を解決する対策として、外国人エンジニアの採用を検討する企業が増えています。

この記事では、外国人の人材を採用するメリットと、採用する際の注意点を中心に説明していきます。

採用の抑えどころはココ!外国人が日本人で働く理由

外国人が日本で働く理由について大きく分けると以下の通りとなります。

・日本での生活にメリットを感じる

・経済的な面でメリットを受けられる

・スキルアップやキャリアアップに適している

それぞれについて具体的な事例をあげると以下のものがあります。

・日本での生活にメリットを感じる

-利便性が高く治安が良い

-日本の文化に興味がある

・経済的な面でメリットを受けられる

-自分の国よりも高い給料が得られる

・スキルアップやキャリアアップに適している

-日本ならではの技術や業務の方法が学べる

-日本ならではの価値観の中で働き、自身の価値観を広げたい

外国人が自国以外で働こうとする場合、より多くの給料が得られる国を選ぶことが一般的といえます。

しかしながら、現段階で世界を見渡してみると、日本よりも給料を多く稼げる国が増えつつあります。そのため、経済的なメリットだけをみると、日本は外国人からは徐々に選ばれにくくなるようにも感じられます。

日本がそのような状況にありながらも、外国人が日本で働きたいと感じるのは、給料以外のメリットが充実しているためです。

例えば、治安の良さは日本ならではのものであり、治安が良くない国で生活している外国人にとっては日本は過ごしやすく感じられます。そのほか、日本の技術力の高さ、日本人ならではの仕事の細やかさに着目して日本で働きたいと考えている外国人もいます。

さらに、日本は世界の中からみると独自の価値観を持っている国といえますが、キャリアアップの観点からあえて多様な価値観の中に身を置いて、自身の成長を図る外国人もみられます。

そのような観点から、外国人の働き先として日本が選ばれる場合があるのです。

外国人採用までの6ステップ

外国人採用までの流れは以下の通りとなります。

・募集

・在留資格の確認

・面接

・内定後、雇用契約書作成

・就労ビザ申請

・就労ビザ取得後、雇用を開始

それぞれの項目に関する詳細と注意点について説明します。

募集

外国人の人材を募集する方法としては、求人サイト、外国人向けのフリーペーパーの利用や、ハローワーク、外国人向けの派遣会社に依頼する方法もあります。そのほか、採用担当者が外国語に堪能であれば、SNSを活用して費用を抑えながら募集することも可能です。

なお、外国人の人材を募集する場合は、「外国人のみ」という表現や「○○国籍をお持ちの方のみ」というように、特定の人だけを優遇する表現は認められていません。「外国人(出身は問わない)」というような表現を心がけましょう。

在留資格の確認

面接を行う前に「在留資格」を確認しておきます。在留資格は「在留カード」に記載されています。なお、在留カードとは、日本に中長期間にわたって滞在する外国人に交付されるものです。

在留資格の種類の例としては「技術」「人文知識」「医療」などがあり、在留資格の種類に応じて就業できる職種が限定されます。

例えば、システムエンジニアを募集する場合は「技術」の在留資格が必要であり、その他の在留資格ではシステムエンジニアの業務を行うことができません。

採用したい外国人が、業務に応じた在留資格を持っているかどうか確認しておきましょう。もし、業務に応じた在留資格を持っていない場合は、在留資格の変更手続きが必要です。

面接

在留資格を確認した後に面接を実施します。企業が求めている人材であるかどうか、という観点のほかに、日本語での意思疎通が可能かどうか、という点についてもチェックしましょう。

日本語が十分に話せれば問題はありませんが、もし、日本語の能力が十分でない場合であっても、日本語の学習意欲が十分であるなら採用を検討しても差し支えありません。

内定後、雇用契約書作成

外国人の応募者を採用すると決めたら、応募者に内定を通知し、雇用契約書を作成します。雇用契約を書面で作成しておくことにより、業務中の無用なトラブルを防ぎやすくなります。

雇用契約書の内容を日本語で作成すると、外国人の採用者としては難しく感じるため、母国語で作成した雇用契約書を渡しておくと良いでしょう。日本語で雇用契約書を作成する場合は、難しい単語を使わず、できる限り簡単な単語でわかりやすい内容としておきましょう。

また、外国人を採用する場合の雇用契約書には、注意書きとして以下の内容を記載しておきます。

「この雇用契約は日本で就労可能な在留資格の許可及び在留期間の更新を条件として効力を有する」

この注意書きを入れておくことによって「日本政府が在留資格の許可を出した場合、または、在留期間の更新をした場合に限って、雇用契約を結ぶ」という意味合いを伝えられます。

逆の見方をすれば、「日本政府が在留資格の許可を出さない場合や、在留期間の更新を認めない場合は、雇用契約は締結されない」という意味となります。

無用なトラブルを防ぐためにも、上記の文言は必ず入れておきましょう。

就労ビザ申請

就労ビザ申請は、条件に応じて申請内容が変わります。それぞれの条件に応じた内容を説明します。なお、就労ビザの申請先は出入国在留管理庁です。申請書に必要事項を記入し、必要書類も合わせて提出します。

(1)在留カードを持っていない

現時点で日本にいない、または日本にいるものの在留カードを持っていない場合は「在留資格認定証明書交付申請」を行います。交付までの期間の目安は1か月~3か月程度です。

(2)在留カードを持っているが、就労資格を持っていない

「在留資格変更許可申請」を行います。申請が許可されるまでの期間の目安は2週間~1か月程度です。

(3)在留期間の満了日まで3か月未満となっている

「在留期間更新許可申請」を行います。申請が許可されるまでの期間の目安は2週間~1か月程度です。

(4)在留期間の満了日まで3か月以上となっている

就労ビザに関する申請は不要ですが、在留カードを所有している外国人は、勤務先が変わったら届出を行う必要があります。届出先は出入国在留管理庁です。

就労ビザ取得後、雇用を開始

就労ビザを取得できたら雇用開始となります。外国人を雇用した場合はハローワークへの届出が必要です。また、在留資格によって担当できる業務は制限されるため、担当外の業務は依頼しないようにしましょう。

外国人採用のメリットは?

外国人を採用するメリットを3つあげると以下の通りとなります。

・若年層の人材を確保できる

・インバウンド需要に対応できる

・新しい価値観が広がり、会社にとって刺激となる

それぞれのメリットについてくわしく説明します。

若年層の人材を確保できる

日本では少子高齢化が進行しており、若年層の人材確保が難しい状況となっています。その点、採用の枠を海外まで広げると、若年層の人材確保に道筋をつけられます。

インバウンド需要に対応できる

外国人を採用することでインバウンド需要に対応しやすくなります。新型コロナウイルスの流行が収まるとインバウンド需要の回復が見込まれます。

インバウンド需要が見込める業種としては小売業や宿泊業などがあります。日本人スタッフのみでインバウンド需要に対応していくよりも、外国人スタッフを採用して外国語での接客応対においてフォローを受けられれば、外国人観光客の満足度がアップしやすくなり、売上アップへとつながります。

新しい価値観が広がり、会社にとって良い刺激となる

また、外国人を採用することで会社内に新しい価値観が広がりやすく、会社としては良い刺激を受けられます。

日本人だけの組織は意思疎通が図りやすいメリットがあるものの、日本人ならではの考え方という枠から抜け出しにくいため、組織が硬直してしまう原因にもなりかねません。

その点、外国人の人材を受け入れると、今までは思いもよらなかった発想に触れることができ、さまざまな気づきを得られます。

既存の価値観とは異なる価値観が社内に育まれることで、社内の雰囲気が変化し、新たなサービスの開発にもつながりやすくなることから、会社が良い方向へと向かうきっかけとなり得ます。

外国人採用で気をつけるポイント

外国人の採用で気をつけるポイントとしては以下のものがあげられます。

・慣習や文化の違いを把握する

・採用後のキャリアアップをサポートする

・不法就労は事業主の責任になる

それぞれの項目について説明します。

慣習や文化の違いを把握する

外国人採用で気をつけたいポイントは、慣習や文化の違いを把握することです。

例えば、日本には「本音と建て前」の文化があり、言いたいことがあっても遠回しの表現をすることがありますが、外国人の場合は基本的に伝えたいことをストレートに伝えます。

日本人スタッフが、外国人スタッフの気持ちを傷つけないように遠回しな言い方をすると、外国人スタッフとしては「本音がわからず仕事がしにくい」と感じてしまいがちです。

外国人を採用する場合は、外国人の考え方をあらかじめ理解しておくことが重要となります。もし、トラブルが発生した場合は、その原因を考えて再発防止に努めることが大切です。

採用後のキャリアアップをサポートする

外国人が働きやすい環境をつくるためには、採用後のキャリアアップをサポートすることがポイントとなります。

特に、キャリア形成を目的として来日した外国人労働者としては、日本で働く以上なんらかの成果を出したいと考えているものです。その考え方こそがモチベーションアップへとつながっていきます。

もし、採用後のキャリアアップをサポートできなければ、外国人労働者は日本よりも労働条件が良い他の国へと移ってしまうことでしょう。そのような状況を防ぐためにも、採用後のキャリアアップサポートは重要な位置づけとなります。

一定の期間にわたって働き、成果を十分に出せたら責任ある立場に就いてもらうことも検討しましょう。

不法就労は事業主の責任になる

労働力不足の状況に追い込まれている場合、事業主としては一人でも多くの外国人労働者に働いてもらいたいと考えることがあるかもしれません。しかし、不法就労を行うと事業主の責任となります。

不法就労となるのは以下のような外国人を働かせた場合です。

・入国許可を受けていない、あるいは在留期限が過ぎている

・在留資格が「短期滞在」や「留学」など、就労できない条件である

不法就労を行った場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金となります。

優良な外国人を採用するためには?

優良な外国人を採用するポイントとしては、職場を多言語とすること、十分な給料を支払うことがあります。

外国人が日本で働く場合のネックとして「言葉の壁」があります。諸外国の場合は、英語が共通言語となっているケースが多いため、英語ができれば業務をスムーズに行えます。

日本人の中で英語を話せる人は少ないため、社内の共通語を英語に変えることはハードルが高いといえますが、グローバル化に対応するため、社内の共通語を思い切って英語に変えることも一つの方法です。

そのほか、十分な給料を支払うことも重要なポイントとなります。現在では日本の給料よりも他の先進国の方が給料が高いケースが見受けられます。給料を出し惜しみすると日本に外国人労働者が定着しない原因にもなりかねません。

優良な人材を確保するためにも、労働に見合った給料を支払うべきでしょう。

外国人採用に強いおすすめサービス5選

労働力不足でいち早く外国人を採用したい企業としては、効果が見込める採用サイトを利用したいことでしょう。この項目では外国人採用に強いおすすめサービスを5つ紹介します。

Bridgers

日本で就業したい外国人のために、海外の現地で面接を実施するサービスです。一社単独の現地採用イベントを開催し、採用担当者が直接現地に向かって面接を行います。その場で内定を出せるので、急ぎで人材を募集したい場合に最適です。

アジアの人材確保を強みとしており、強力な人材ネットワークで人材を確保します。内定後はビザ申請から就労までをサポートするので、海外人材の採用手続きを安心して任せられます。

PIITs

PIITsとは、インド工科大学(IITs)の学生を採用するプログラムで、IT系人材の確保に適した採用サービスです。同大学は世界でも超難関と言われており、IT系大企業で活躍する人材を輩出している点が特徴的といえます。

PIITsでは大学3年生を対象として、夏休みの間に日本でのインターンシップを実施しています。インターンシップの期間中に人材の見極めができるため、企業の要望に添った人材を確保しやすくなります。

来日の航空券、インターン期間中の住居・生活費の手配を全てサポートするため、企業は学生を採用するかどうかという点だけに集中できます。

Daijob.com

バイリンガル・グローバル人材専門の求人サイトで、サイト運営は20年以上、サイトの規模は国内最大級です。これまでの利用者は世界27カ国・54万人以上で、高い実績を上げています。

特徴的な点は即戦力人材が豊富な点で、ビジネスレベル以上の日本語能力を持つ外国人は20%以上となっています。また、人材の検索やスカウトメールの作成など、採用に関する事務的な作業を代行しているので、人事担当者は採用業務に専念できます。

NINJA

NINJAは、高度外国人材に特化して16年以上運営しており、外国人の雇用に関して豊富な実績とノウハウを有しています。

NINJAは、外国人求職者からの圧倒的な支持を得ており、高度外国人のデータベースは世界134カ国・約4万人に上ります。登録外国人のうち、ビジネスレベル以上の日本語を話せる人は70%以上であることから、即戦力となる人材を採用しやすくなります。

日本語に堪能な外国人が多いこともあり、販売や接客、翻訳など語学を活かした採用が強みです。

WORK JAPAN

WORK JAPANは外国人アルバイト専門の求人サイトで、登録している外国人の数は10万人です。

WORK JAPANのサイトは、英語や中国語のほか、ベトナム語やミャンマー語など8種類の言語に対応しているので、多くの外国人に利用されています。

募集している業種は飲食店やホテル、工場などのほか、農業など地方の求人募集に至るまで、幅広い点が特徴です。面接日程の調整はネット上から手軽に行えるため、応募者だけでなく企業からも好評を得ています。

まとめ

少子高齢化による労働力不足が進んでいる日本では、外国人の採用が労働力不足の切り札となり得ます。外国人を採用するためにはさまざまな手順を踏む必要がありますが、見方を変えれば、手順通りに作業を進めれば外国人の採用は十分に可能といえます。

また、外国人を雇用していると、条件に応じて助成金を利用できます。受けられる助成金の一例としてはキャリアアップ助成金があります。外国人の受け入れには何かと費用がかかりますが、助成金を利用することで費用の問題は解決しやすくなります。

そのほか、外国人を雇用する場合は、社内においてスムーズに受け入れるためにも社員への周知を忘れずに行いましょう。

グローバル化が進む現在、日本国内で外国人労働者が働く場面は今後も増えていくことが見込まれます。外国人の雇用方法を十分に理解し、労働力不足を打開していきましょう。

(画像はPexelsより)