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忘れてはいけない、在留期間の更新。更新を忘れたらどうなるかまで解説します


26 Apr, 2021

はじめに

日本で外国人が働くには、在留資格が必要です。

しかも、日本での活動に適した在留資格が必要なのですが、在留資格は細かく分類されているため複雑に感じられる方もいることでしょう。

この在留資格は自動的に更新されるわけではありません。更新には手続きが必要です。

在留資格の更新を忘れると、日本で働く外国人はもちろん、雇用する側にもペナルティが発生してしまいます。

今回は、在留期間やその更新について解説したいと思います。

在留期間って何?

在留期間とは、在留資格を持った外国人が日本に在留することができる期間のことです。

出入国管理及び難民認定法では

第二条の二 本邦に在留する外国人は、出入国管理及び難民認定法及び他の法律に特別の規定がある場合を除き、それぞれ、当該外国人に対する上陸許可若しくは当該外国人の取得に係る在留資格(高度専門職の在留資格にあつては別表第一の二の表の高度専門職の項の下欄に掲げる第一号イからハまで又は第二号の区分を含み、特定技能の在留資格にあつては同表の特定技能の項の下欄に掲げる第一号又は第二号の区分を含み、技能実習の在留資格にあつては同表の技能実習の項の下欄に掲げる第一号イ若しくはロ、第二号イ若しくはロ又は第三号イ若しくはロの区分を含む。以下同じ。)又はそれらの変更に係る在留資格をもつて在留するものとする。

2 在留資格は、別表第一の上欄(高度専門職の在留資格にあつては二の表の高度専門職の項の下欄に掲げる第一号イからハまで又は第二号の区分を含み、特定技能の在留資格にあつては同表の特定技能の項の下欄に掲げる第一号又は第二号の区分を含み、技能実習の在留資格にあつては同表の技能実習の項の下欄に掲げる第一号イ若しくはロ、第二号イ若しくはロ又は第三号イ若しくはロの区分を含む。以下同じ。)又は別表第二の上欄に掲げるとおりとし、別表第一の上欄の在留資格をもつて在留する者は当該在留資格に応じそれぞれ本邦において同表の下欄に掲げる活動を行うことができ、別表第二の上欄の在留資格をもつて在留する者は当該在留資格に応じそれぞれ本邦において同表の下欄に掲げる身分若しくは地位を有する者としての活動を行うことができる。

3 第一項の外国人が在留することのできる期間(以下「在留期間」という。)は、各在留資格について、法務省令で定める。この場合において、外交、公用、高度専門職及び永住者の在留資格(高度専門職の在留資格にあつては、別表第一の二の表の高度専門職の項の下欄第二号に係るものに限る。)以外の在留資格に伴う在留期間は、五年を超えることができない。(引用元:出入国管理及び難民認定法 第二条の二)

と定められています。

この在留期間は在留資格ごとに異なります。

在留期間の更新とは

在留期間は5種類あります。3カ月、6カ月、1年、3年、5年があり、この在留期間と在留カードの有効期限は同じです。

しかし、在留期間の更新と在留カードの更新では別の手続きが必要になるため要注意です。在留期間は更新したけれど、在留カードの更新を忘れてしまうということもあり得ます。

実は在留カードは、更新の時期が近づいても運転免許証のようにお知らせは届きません。そのため、自分で忘れずに更新しなくてはならないのです。

この更新を忘れやすいのが、永住資格を持つ外国人。永住資格を持つ外国人でも、在留カードの更新は必要であることを覚えておく必要があります。

在留期間の更新を忘れるとどうなるの?

在留期間を1日でも過ぎてしまうと、不法滞在者という扱いになってしまいます。

在留資格を失ったまま日本に滞在すると、強制送還や3年以下の懲役・禁錮若しくは300万円以下の罰金というペナルティが課されます。

また、在留期間の更新はしたけれど、在留カードの更新を忘れた場合では、強制送還ほどではありませんが、1年以下の懲役又は20万円以下の罰金というペナルティを課されることがあります。

在留期間を超過した外国人を雇用する企業等にも罰則があります。不法労働助長罪となり、3年以下の懲役若しく300万円以下の罰金というかなり重い罪に問われることになってしまうのです。

在留期間の更新を忘れたことや在留カードの更新を忘れたことが判明した場合、できるだけ早く入国管理局へ出頭し、指示を仰がねばなりません。

ただし、病気や事故で入院中に在留期限がきた場合、不法滞在と見なされないことがあります。

医師による「早急に入院して治療を行う必要がある」という内容の診断書や、医療費を含めた滞在中の経費支払いができることの証明書を、地方出入国在留管理官署に持参しましょう。

在留期間更新の手続き方法

勤務先や業務内容に変更がない場合、在留期間更新手続きは比較的スムーズです。

法務省のホームページから申請書をダウンロードして必要事項を記入し、地方出入国在留管理官署へ申請します。

原則として、申請者は外国人本人ですが、取次者や法定代理人でも申請は可能です。申請取り次ぎの承認を受けていれば、企業等が代理で申請することができます。

外国人本人の写真を添付した在留期間更新許可申請書、1年間の総所得が記載された住民税の課税証明書又は納税証明書を用意し、地方出入国在留管理官署へ提出します。在留カードやパスポートは申請時に提示するだけで大丈夫です。

在留期間の更新手続きは期間内に申請する必要がありますが、手続きに時間がかかるため、期間内に手続きが完了する必要はありません。

勤務先が変更になる場合や業務内容が変わる場合には、在留資格変更許可申請が必要になります。必要な書類は在留期間更新手続きとほとんど同じですが、在留期間更新許可申請書ではなく、在留資格変更許可申請書を用意します。

どちらの場合でも、申請が許可されたら4,000円分の収入印紙が必要です。

申請が許可されると自宅にハガキで通知書が送付されます。このハガキと在留カード、パスポート、申請受付票を出入国在留管理局へ持参し、手続きを行います。4,000円分の収入印紙はこの手続きの時に購入します。

在留期間更新における審査基準

在留期間更新を申請しても、必ずしも更新されるとは限りません。在留期間更新には審査基準があるのです。

行う活動が申請した在留資格に適していること、法務省令で定めた上陸許可基準等に適していること、現在の在留資格に則した活動を行っていること、入管法で定めた届け出等の義務をきちんと果たしていること。

それだけでなく、素行が不良でないこと、雇用条件や労働条件が適正であること、納税義務を果たしていること、独立の生計を営むだけの資産や技能があることも審査基準になります。

在留期間内に刑罰法令違反を犯すと、「素行が不良でないこと」という審査基準から外れてしまい、在留期間が更新されないこともあります。この場合、反省文を提出する等、心から反省していることを立証しなければなりません。

もし、在留期間更新が不許可だった場合、通知がハガキではなく封書で届きます。

この封書を出入国在留管理局へ持参すると、申請が不許可であったことが伝えられ、その理由を告げられます。そして、在留資格を出国準備の特定活動に変更するか否かを尋ねられます。

在留資格を出国準備の特定活動に変更した場合、前回の申請時に不許可になった理由を穴埋めする証拠を添えて再申請することもできます。

まとめ

今回は在留期間の更新について解説しましたが、いかがでしょうか。

忙しく過ごす日々の中で、在留期間の更新はうっかり忘れてしまいそうですが、うっかりでは済まされない事柄です。

外国人本人はもちろん、雇用する側の企業等も在留カードを確認するなどして更新忘れを防ぎたいものです。

(画像はpixabayより)