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「技術・人文知識・国際業務」ってどんな在留資格?就業できる業務をまとめました


01 Apr, 2021
はじめに

在留資格はかなり細かく分類されています。そのすべてを熟知することはかなり困難でしょう。

しかし、日本を訪れる外国人はもちろん、外国人を雇用する人も在留資格に関する知識は必要です。

今回は、33種類ある在留資格の中でも「技術・人文知識・国際業務」をピックアップ。技術・人文知識・国際業務の在留資格を認定されるための要件や採用方法までまとめてみたいと思います。

在留資格

在留資格「技術・人文知識・国際業務」とは

「就労ビザ」という言葉を耳にしたことがある方は多いのではないでしょうか。この通称「就労ビザ」は外国人が日本で働くために必要な在留資格で、「技術・人文知識・国際業務」も就労ビザのひとつです。

「技術・人文知識・国際業務」の頭文字を取って、「技人国」と表されることもあります。

日本の出入国管理庁は、在留資格「技術・人文知識・国際業務」を取得した外国人が日本国内で行うことができる活動について、

本邦の公私の機関との契約に基づいて行う理学,工学その他の自然科学の分野若しくは法律学,経済学,社会学その他の人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務に従事する活動(一の表の教授の項,芸術の項及び報道の項の下欄に掲げる活動並びにこの表の経営・管理の項から教育の項まで,企業内転勤の項及び興行の項の下欄に掲げる活動を除く。)。
該当例としては,機械工学等の技術者,通訳,デザイナー,私企業の語学教師など。(出入国管理庁ホームページより)

としています。

大学卒業程度の学歴要件が必要で、自然科学分野の専門技術職や人文科学分野の専門職に携わる外国人、母国ならではの考え方や感受性を生かして国際業務に携わる外国人が取得することができる在留資格です。

この在留資格は更新回数に制限がないという特徴があります。そのため、就労先が存在する限り、日本で働き続けることができます。

今ではなんと、27万人もの外国人がこの在留資格を得て日本で生活しているのです。

在留資格

「技術」で在留資格が得られるのはこんな外国人

では、ここからは「技術・人文知識・国際業務」について、それぞれどのような業務に就くことができるのか、具体的に解説していきましょう。

まず、「技術」分野の在留資格です。

業務に関する短大や高専、大学、大学院を卒業、又は日本の専門学校を卒業時に「専門士」や「高度専門士」を与えられた外国人、若しくは10年以上の実務経験がある外国人が申請することができます。

情報処理システムの開発業務やコンピュータプログラム業務に携わる時、法務大臣が定めた情報処理に関する資格を取得していれば、上記の代わりになります。

この在留資格で働くことができるのは理系に関する職種。大学の理系分野の学生が目指す職種と言うとわかりやすいでしょうか。

具体例を挙げてみましょう。

建築技術の基礎研究や応用研究に関する職種、土木や建築に関する研究や開発、解析などを行う職種もこの分野に入ります。

ここで注意がひとつ。建築や土木の現場において「技術・人文知識・国際業務」では働くことができません。この資格で建築や土木分野で携われるのは、設計やデザインなどの業務です。

自動車メーカーにおいて、製品開発や技術開発に関する職種、機械の開発や研究に関する職種もこの分野です。

先ほどの建築現場と同様に、機械部品の組み立てなどの現場作業には、この在留資格では従事することができません。

IT系の職種であれば、プログラマーやシステムエンジニア、ソフトウェアエンジニア、データベースエンジニア、ゲームエンジニア、サーバエンジニア、CAEシステムの開発及び解析業務、テクニカルサポートなどに就くことができます。

原則として、知識や経験が必要とされる業務ということが重要となり、それらを必要としない単純作業や現場作業が明確な業務に就くことはできないことを頭に入れておきましょう。

在留資格

「人文知識」で在留資格が得られるのはこんな外国人

次に、「人文知識」分野です。

こちらも、業務に関する短大や高専、大学、大学院を卒業、又は日本の専門学校を卒業時に「専門士」や「高度専門士」を与えられた外国人、若しくは10年以上の実務経験がある外国人が申請することができます。

この分野の職種はいわゆる文系の職種。大学で法律学や社会学、経済学、その他の人文科学を履修した学生が就く職種と言うとイメージしやすいでしょうか。

ここでひとつ注意が必要なのは、芸術系を除くということです。芸術活動で日本に入国するにはまた別の在留資格が必要となります。

具体例を挙げていきましょう。

事務系の業務であれば、経理や人事、総務、広報、財務、法務など。

貿易系の業務であれば、バイヤー、海外営業、貿易コンサルタント、物流コンサルタント、貿易事務など。

営業系業務であれば、個人営業や法人営業、営業企画、派遣営業、キャリアカウンセラーなど。

金融系業務なら、金融事務、経営コンサルタント、ファンドマネージャーなどです。

在留資格

「国際業務」で在留資格が得られるのはこんな外国人

最後に「国際業務」分野です。

この分野でビザを申請するには、3年以上の実務経験が必要です。ただし、短大や大学、大学院を卒業した外国人が翻訳や通訳、語学指導に関する業務に就く場合は、3年以上の実務経験がなくても大丈夫です。

この分野は、外国人ならではの思考や感受性が必要になる職種が当てはまります。

具体例を挙げると、翻訳や通訳など言語スキルが必要とされるもの、通訳を主とした海外取り引き業務、デザイナー、クリエーター、服飾や室内装飾、商品開発業務などです。

「技術・人文知識・国際業務」で外国人を採用するには

「技術・人文知識・国際業務」での在留資格を申請するのは、申請者の学歴や職務内容が審査されるため、企業と外国人が就労契約を結んだ後になります。

国益に関わる在留資格のため慎重な審査が必要であり、認定されるまで2週間から1カ月程度かかることがほとんどです。

この在留資格を取得するには、日本の企業と契約を結ぶこと、その企業の経営状態に問題がないことも必要条件です。

また、同種の職務に就いている日本人と同等以上の給与水準であることも重要です。

申請した職務内容が「技術・人文知識・国際業務」に即しているか否かは、実質的な業務内容を審査して決定されます。法律に沿った業務内容であり、業務量が十分にあることも審査対象になります。

つまり、入国管理局は、専門的技術的な知見や外国人ならではの思考や感受性を有し、それらが必要な業務内容であるか、その職務の頻度や業務量を審査するのです。

単純作業や現場作業とみなされるおそれのある職種に就く場合、専門知識が必要な業務内であることやその業務量を明確に立証しなければなりません。

飲食業やホテル・旅館業、小売り・販売業、コンビニエンスストア、電気工事業などは肉体労働や単純作業とみなされ、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の認定対象とならないとされています。

しかし、そのような業種でも本社スタッフや企画業務、マーケティング業務などに携わるのであれば認められることがあるため、きちんと立証しておくことが重要です。

まとめ

在留資格「技術・人文知識・国際業務」についてまとめましたが、いかがでしたでしょうか。

この在留資格は、正社員として日本で働く外国人のほとんどが取得している資格と言っても過言ではないでしょう。

そのため、中途採用で外国人を採用する時に、在留資格で認定されている業務と自社で携わって欲しい業務がきちんと合っているかを書類選考時や面接時に確認しておくことが大切です。

(画像はpixabayより)